マイボーム腺機能不全(MGD)

マイボーム腺機能不全(MGD)とは

眼瞼炎(マイボーム腺機能不全MGD)とはマイボーム腺機能不全(MGD)は、マイボーム腺の機能が様々な原因で損なわれ、慢性的な目の不快感を引き起こす状態です。
マイボーム腺は、瞼板内に位置し、上下の眼瞼縁に開口部を持つ脂腺です。この腺から分泌される脂質であるマイボーム腺の脂 (meibum)は、涙液表面に分布し、涙液の蒸発を防いだり、涙液の安定性を保ったりする重要な役割を果たしています。さらに、マイボーム腺の脂 (meibum)は眼瞼縁での涙液の皮膚への流出を抑制し、涙液表面を滑らかにし、まばたきの摩擦を減らすなどの機能を持っています。
目の不快症状は、様々なものがあり、例えばゴロゴロする感覚や過剰な涙などが挙げられます。これらの症状を抱える患者様の中には、マイボーム腺機能不全(MGD)が見られ、それにより生活の質が低下していると考えられます。
マイボーム腺機能不全(MGD)は重要な病気でありながら、その臨床像は多岐にわたります。また、自覚症状が軽度な場合から重症な場合まで幅広い症例が存在し、効果的な治療法が限られているため、これまであまり注目されてきませんでした。

マイボーム腺機能不全(MGD)の原因

眼瞼炎(マイボーム腺機能不全MGD)の原因炎症や感染により、マイボーム腺の機能が異常を来すことで、病気が発症します。 この病気は主に高齢者に見られますが、若い人でも、眼瞼縁のメイクを完全に落とさないと、マイボーム腺の開口部が閉塞され、マイボーム腺機能不全(MGD)にかかりやすくなる傾向があります。

マイボーム腺機能不全(MGD)の特長と
かかりやすい危険因子

マイボーム腺機能不全(MGD)
の病気になりやすい方
  • 高齢(60歳以上)
  • 男性
  • 脂性肌(おでこがてかてかしやすい)
  • 揚げ物、油ものが好き
  • 魚より肉が好き
  • 喫煙の習慣がある
  • 脂質異常症、もしくはその疑いがある
  • メタボリックシンドローム、もしくはその疑いがある

まぶた、まつげ、マイボーム腺の出口は常に外界にさらされており、目の器官の なかで最も細菌感染や炎症をおこしやすい場所です。
マイボーム腺機能不全(MGD)は、食習慣、生活習慣とも関わりがあり、全身の病気(メタボ リックシンドローム)と関連があることがわかっています。
以上のことから、生活習慣や生活環境が変わらなければ、マイボーム腺機能不全(MGD)は慢性化しやすく、改善と悪化を繰り返すことが多いといわれています。
毎日のホームケアを根気よく続けていただくことで、 症状の改善、再発の予防に役立つと期待されます。

日常生活でのヒント

マイボーム腺機能不全(MGD)やドライアイを放置しておくと、仕事や生活の質(QOL) が極端に下がると言われています。特に日本人の32.9%がマイボーム腺機能不全であるという疫学調査もあり、パソコンやスマホを多く使用する我々にとって 重大な問題になってきています。
少しでもマイボーム腺機能不全(MGD)やドライアイの症状をやわらげるために、自宅でできる温罨法(おんあんぽう:まぶたを温める)、眼瞼清拭(リッドハイジーン)などを根気強く続けて、定期的に大阪市旭区のうえの眼科で検診を受けることをお勧めいたします。

最近では、最先端治療(IPLやリピフロー)のような医療機器で治療する方法も ありますので、主治医の先生に相談してください。

マイボーム腺機能不全(MGD)の症状

  • 目が疲れやすい
  • なんとなく目がごろごろしたり、不快感がある
  • 目ヤニがたまりやすい
  • 涙目になりやすい
  • 目がかゆい
  • まぶたが重い
  • まぶたが熱い
  • まものもらいができやすい
  • 充血しやすい
  • まつげが減ったり、目にささったりしやすい
  • まつげが汚れやすい
  • 朝、目が開けにくい
  • 朝、症状がひどく出やすい

ドライアイと併発しやすい
マイボーム腺機能不全(MGD)

大切な目を守るために油分が不足すると、ドライアイや目の不快感が引き起こされる可能性があります。
これには、目がゴロゴロする感覚や疲れ、目の周りの痛みや熱感、涙が出るなどのさまざまな症状が含まれます。マイボーム腺機能不全(MGD)には、分泌減少型と分泌増加型の2つのタイプがあります。
通常、正常なマイボーム腺の脂 (meibum)は透明でさらさらした液体ですが、異常なマイボーム腺の脂 (meibum)は練り歯磨きのように硬くなったり、白く濁ったり、黄色く変色したりします。ドライアイの症状を訴える人の約80%がマイボーム腺機能不全(MGD)を合併しているとされています。

ホームケア

温庵法(おんあんぽう:まぶたを温める)

マイボーム腺の油を溶かし、まぶたの血流を改善します。治療用具や温めたタオルなどで行います。

眼瞼清拭
(リッドハイジーン)

まぶたに使える特別な洗浄剤を使用して、優しくマッサージすることで、マイボーム腺からの油の排出を促進し、凝固した油や角質の詰まりを取り除きます。これにより、周囲の細菌の量も減少させる効果が期待されます。

オメガ3脂肪酸を
多く含む食品摂取

マイボーム腺からでてくる脂は、体の脂を反映する可能性が高いと考えられます。 マイボーム腺の脂の成分を正常化するためには、「目」だけの観点からだけでなく「目は体の一部」として、口から摂取する栄養にも配慮する必要があります。
現代の日本人の食生活は食の欧米化により魚の摂取が減少し、肉食や加工食品の摂取が増加しています。そのため、血液をサラサラにするオメガ3脂肪酸が不足しています。

オメガ3脂肪酸を意識した食事

EPA・DHAを多く含む青魚系

マグロ、イワシ、サバ

αリノレン酸を含む植物系食品

エゴマ油、アマニ油、くるみ

サプリメント・処方薬

フィッシュオイル、DHA & EPA、DHA & EPA、青魚DHA、DHA & EPA、 エパデール、ロトリガ

病院でおこなう治療

薬による治療

各治療薬は「マイボーム腺機能不全(MGD)」という病名では保険適用がまだありませんが、国内外の臨床研究でその有用性、安全性のエビデンスが複数あるものです。点眼(目薬)もしくは内服については、大阪市旭区のうえの眼科の指示にしたがってください。

有田式マイボーム腺
圧迫鑷子による
マイバム圧出

痛み止めの点眼麻酔をしてから、古い脂を圧出します。月に1回程度、定期的におこなうことで、新しい脂が産生されやすくなります。
古い脂が固ければ固いほど痛みがあるため、温罨法などでまぶたを温めてから行うと、痛みが和らぐ場合があります。

医療機器による最先端の治療(リピフロー、IPL)

※自費診療。一部の病院でのみ取り扱い。



大阪市旭区のうえの眼科では、マイボーム腺機能不全(MGD)についての研究会であるLIME研究会に院長が所属しており、治療法について、日々情報を得ながら、診療を行っております。